案内

案内人・翠華の誘い

暗闇に灯る青い燐光。その中心で、一人の少女があなたを待っています。
透き通るような肌に、どこか遠くを見つめるような瞳。彼女の名は翠華(すいか)。この「情念の迷宮」の入り口で、迷い込んできたあなたを導く案内人です。


「……ようこそ。よくぞ、この深い闇の底まで辿り着いてくださいました」

少女は静かに膝を折り、周囲の燭台に火を灯します。揺らめく炎が、彼女の幼くも妖艶な輪郭を浮かび上がらせました。

「ここは『情念の迷宮』。あるいは、あなたの心の中に眠る、名前のない渇望を形にする場所……。
地上では決して口にできない秘め事や、月明かりの下でしか許されない過ち。それらがこの迷宮では、確かな『記録』として刻まれています。

ここには三つの階層……三つの『調べ』がございます」

第一の調べ:【秘話(Secrets)】
「まずは、美しい色彩を伴う『記録』
秘書の指先が震えた理由や、家庭教師の眼鏡の奥に隠された熱。それらを、精緻な絵物語としてお見せしましょう。視覚と心が同時に侵食されていく心地よさを、どうぞお愉しみください」

第二の調べ:【断片(Fragments)】
「次に、形を持たぬ『記憶』
絵はございません。ただ、言葉の礫(つぶて)だけが、あなたの脳裏に直接、鮮烈な情景を映し出します。幼馴染の少女たちの啜り泣きや、深夜の廊下に響く衣擦れの音……。姿が見えぬからこそ、あなたの想像力は、私がお見せする絵よりも残酷で美しい真実を作り出すはずです」

第三の調べ:【一瞥(Glimpses)】
「そして最後は、刹那に消える『残響』
ほんの一瞬、彼女の瞳が揺れた瞬間。あるいは、吐息が肌をかすめただけの小さな出来事。それらを宝石のように拾い集めました。短く、儚い一瞥の数々が、あなたをより深い階層へと誘うことでしょう」

「……準備はよろしいですか?
一度足を踏み入れれば、出口を探す必要などございません。この心地よい熱に身を任せ、私と共に、迷宮の最深部を目指しましょう。

さあ、その手を……。
あなたの望む扉は、どちらに繋がっているのでしょうか?」

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