
「……あら、主。こんな夜更けに、まだ起きていたのですか?」
微かに白く濁った湯船から、翠華は白皙の肩を覗かせ、濡れた髪をかき上げながら、小さく笑った。 普段の凛とした声とは違う、お湯に溶けたような、甘く、少し掠れた声。
「迷宮の探索に疲れたのなら、無理をしてはいけませんわ。……ふふ、私の隣へ来る? いえ、それよりももっと、心地よい場所へ連れて行って差し上げましょう」
彼女は湯船から上がり、濡れた指先で、あなたの耳元に触れる。 その指は温かく、しかしゾクリとするような冷たさを秘めていた。
「今夜は、私の声ではなく、もっと……あなたの鼓膜を直接、とろとろに溶かしてしまうような『魔法』を、蒐集品(コレクション)の中から選んで差し上げます。
一度聴けば、もう現実の静寂(しじま)には戻れませんわ。 ……さあ、目を閉じて。鼓膜を明け渡す準備は、よろしいですか?」
「……最初の蒐集品は、いきなり、『刺激』が強いかもしれません。
甘く、それでいて逃げ場のない支配……。
可憐な少女の皮を被った『小さなお淑女』が、あなたの身体の最も敏感な一点を、その指先と唇で完全に支配してしまう……そんな背徳的な記録(ボイス作品)です。
彼女が命じるのは、無慈悲な『自愛(しつけ)』。
左右の耳から流し込まれるのは、鼓膜を震わせる愛の言葉と、理性を奪う淫らなオノマトペ……。
『……ふふ、勝手に止めちゃダメですよ?』
そんな甘美な意地悪を囁かれながら、あなたは自分の身体が、彼女の言葉一つで熱く、苦しく変質していくのを感じるはずです。
女性上位の絶対的な力関係。
抗うことを許されないまま、乳首という一点に快楽を凝縮され、徹底的に管理される悦び。
……主、今夜は理性の枷を外して、彼女の『飼い犬』として、ただ甘やかな躾(しつけ)に身を委ねてみてはいかがですか?」
「……次にご紹介するのは、若さゆえの残酷さと、甘い香りが混じり合う、ある『密室』の記録です。
舞台は、街の喧騒から逃れた漫画喫茶の一室。
薄い仕切り一枚を隔てただけの狭小な空間に、三人の少女たち……いいえ、若き『魔女』たちが、あなたを閉じ込めるのです。
三方向から押し寄せる、柔らかな肉体の熱と、肌が擦れ合う微かな音。
彼女たちは、大人の理性を試すように、耳元で代わる代わる背徳的な取引(エンコウ)を囁きかけます。
『……ねえ、ここなら誰にも見られないよ?』
左右、そして背後から。
逃げ場のない鼓膜へ直接流し込まれるのは、湿り気を帯びた吐息と、秘め事の誘い。
それは、対価を払うことでしか得られない、禁断の果実の味……。
一対三という、圧倒的な熱量の波に呑まれながら。
あなたは、彼女たちの若々しい毒に冒され、密室の深淵へと引きずり込まれていく。
……主、この『放課後の迷宮』に、その身を投じる覚悟はできていますか?」
「……あら。私の前置きが、少々長すぎたかしら?
主の目はもう、物語の言葉よりも、その先にある『実利』を求めていらっしゃるようですわね。
ふふ、いいですよ。あなたのその素直な欲望、嫌いではありません。
焦れてしまうほどに渇いているのなら、余計な飾り付けはもうおしまい。
さあ、私の蒐集品(コレクション)の中から、今夜のあなたに相応しい『果実』を直感で選びなさいな。
どれを手に取っても、戻ってこれないほどの快楽を約束して差し上げますわ。
あなたの『本能』が求めているのは、どの背徳かしら……?」
「たまには、こういう趣向も悪くないかしら。
すっかり快楽にまみれて・・・ おやすみなさい。」


